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木育の種、咲かせた花~第11回 もくいく育児日記中間まとめ -  2024.02.12 Mon

木育ファミリーのHPという場で、育児日記の掲載を始めたのが2011年のこと。それから不定期に細々と連載を続けてきて、現在息子が小学6年生、娘が2年生となった。
私自身は森林所有者でもなく、木育を育児に取り入れようといっても、木材側に偏っており、たいしたことをやれてきたわけでもないが、ここまで約10年間、連載を続けてきた中で、実践したこととその効果を振り返ってみたいと思う。

〈実践したこと〉
・子ども用に木のスプーンを手作りし、離乳食の時に使ってみた。
トドマツを彫刻刀で削ってスプーンにしたものを、離乳食に使用していた。やわらかい木がゆえに、しばらく使用するとぱきっと欠けてしまい、処分することになってしまったが、木のスプーンは触感がひやっとせず、乳幼児にはよかったのかもしれない。また、お茶碗をどんどん割られてしまう時期があり、子どもが小さいうちは椀物も木製がおすすめ。

20240201欠けたスプーン

・グリーンウッドワークで子ども椅子を作成した。
当時、むかわ町でグリーンウッドワークを始めたばかりの頃。木育ファミリーの総会兼体験プログラムに集まった人たちの協力を得て完成した木の椅子は今でも宝物。わが子どもが座るには小さくなったが、現在は携帯置き場として活躍。

20240202ゴッホ椅子

・部屋の主役になるようなダイニングテーブルをオーダーメイドした。
育児に活用というよりは、自分が欲しかったために、木育でつながった木工家さんにオーダーして、こたつ布団がはさめるダイニングテーブルを作ってもらった。どんな効果があるかはわからないが、部屋の主役となる重量感のあるテーブルが鎮座していることは、もしかすると子どもたちの原風景になっていくのかもしれない。

・参加できる木育イベントには極力参加した。
イベントの中でも、木のものづくり体験には好んで参加した。ツリー、枝のけん玉、スプーン、鉛筆、カスタネット、木のアクセサリー…今、集められるだけでも多数。実際にはもっと作っている。形に残るものは思い出にも残りやすいらしい。

20240203これまでの作品群

〈子どもへの効果〉
・ものづくりを好み、手先が器用になり、好きな教科は図工になる。
・ランドセルに木のストラップをつけて登校している。
・キャラクターは木・草属性がお気に入りになる傾向がある。
・たき火であぶったマシュマロが好き。

最後に、息子にまつわるエピソードを一つ紹介させてもらい、連載のまとめとしたいと思う。
小学校の参観日のこと。今は小学生に一人一台タブレットが配布されていて、授業でもタブレットを活用して、様々なことを調べるらしい。
学習のテーマはSDGsで、その取組の中から自らが課題を選んで、クラスメイトや保護者の前で発表をするという内容だった。他の発表が、海洋汚染や外来種といったテーマが多い中で、息子が選んだテーマは森林破壊だった。今、世界的にどれだけの森林が失われているか、森林破壊を防ぐために自分たちが身近に取り組めることは何かなど、私が仕事で作成してもおかしくないような内容だった。

学校からの帰り道、息子に聞いてみた。
「SDGsの中で自由にテーマが選べたのに、どうして森林の話にしたの?」
 息子は、さもあたりまえという顔で答えた。
「だって、お母さんそういう仕事でしょ」
 そう言われたとき、私がここまでやってきたことは確かに子どもに伝わっているんだなと、報われた気持ちになった。
 育児はこれからも大変だし、正解も満点もないけれど、現時点で子どもに伝わっている思いがある。これを育児日記の中間報告として一区切りとさせていただきたい。ここまで読んでいただいた皆様ありがとうございました。


◆北海道水産林務部林業木材課 根井三貴

木育の種、咲かせた花〜第10回 森の輪 mori no wakko -  2024.01.14 Sun

【はじめに】
木育が誕生して20年を迎えます。
樹木の20年というと、タネから芽生えた木が、若木を超えて成木(せいぼく)になりつつあるころ。全体を支える幹を持ち、枝を広げてたくさんの葉をつけ、早いものでは花を咲かせ、種を実らせる木もあります。
さて、今回ご紹介する森の輪プロジェクトは、「木育」の理念にも深く通じるところがあり、このリレーエッセイのテーマ「木育の種、咲かせた花」になぞらえるならば、森の輪プロジェクトの取組みも、木育が咲かせた花の一つといってもよいかもしれません。

【森の輪(わっこ)プロジェクトとは】
森の輪プロジェクトは、生まれてきた赤ちゃんに、ドーナツ型の木のおもちゃ「森の輪」を贈る取組みです。森の輪は、乳児期の赤ちゃんが、にぎったり、くわえたり、なめたり、ころがしたり、発達に合わせて遊べるよう、発達段階や体の構造、安全性などを考慮してデザインされています。赤ちゃんがはじめて木にふれる機会を大切にし、良質なおもちゃを贈って、赤ちゃんの誕生を祝い、子供の成長や、子育てに寄り添いたいというのが一つ目の願いです。

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もう一つが、「森の輪」の名称にもこめた「森と人、人と人とのつながりの輪が生まれ、広がってほしい」という願いです。子供たちに、木や森、自然にふれあって育ってほしい。地域の人たちとつながりを深めてほしい。取り組みを通じて地域が元気になってほしい。そんなささやかなきっかけになれたら、という願いをこめて取組みを進めています。

【地域で取り組む】
大切なこだわりは「地域」です。市町村が主体となり、地域で育った木を使い、地域の職人さんが加工し、地域で生まれた赤ちゃんに贈ります。地域で取組むことにこだわっているため、一般販売はしていません。
使う木はそれぞれの自治体で選んでいただきます。「市町村の木」になっている樹木や、廃校の校庭の木など、それぞれの地域の思いをこめて木を選んでいただいており、これまで13種類の木が使われています。
加工、製作するのは地域の職人さんや工場です。森の輪はシンプルな形状で、簡易な工作機械による手作業でも製作できるので、それぞれの地場の工場などで製作することができます。現在、道内外各地の木工所等との協力体制ができています。当初は、基本的には各地の工場で製作することを想定していましたが、池田町では地域おこし協力隊の方が、伐採から製材、製作、贈呈までを一人でやってのけ、沼田町でも同様の取組が続きました。近年広がっている自伐型林業になぞらえるなら、「自作型森の輪」です。これは新たな地平を切り開いてくれました。
新生児へは、自治体での出生届受理の際や、乳幼児健診の際に贈呈していただいています。木を切る人、板にする人、森の輪に加工する人、届ける人、それらをつなぐ人…地域の多くの人の手を経て、森の輪は赤ちゃんのもとに届けられます。

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【広がる取組み】
森の輪プロジェクトは現在、北海道内を中心に23自治体で取り組まれています。
森の輪プロジェクトでは、基本的な枠組み以外はほとんど決め事を設けず、自治体ごとに自由度をもって取り組んでいただいています。最低限のレシピを共有して、味付け、盛り付け、献立はご自由に、というスタイルです。むしろ、森の輪を一つの素材にして、それぞれの自治体で素敵な料理に仕上げてほしいというふうに考えています。そのため、例えば、森の輪を入れる袋を自治体の手芸サークルの方々が刺繍をいれて手作りしたり、製品に子どもの名前と誕生日を刻印して特別感を持たせたり、といったように自治体ごとに特徴的な取り組みが生まれています。「自作」の動きもそんな自由度から生まれたものでしょう。森の輪の取組みを通じて、地域の方々の活躍の場が広がったり、地域の事業所の雇用が創出されるなどの効果も生まれています。
 
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【森の輪の思い】
さて、北海道で生まれた木育は20年の歳月を経て、各地で関わる人や取組みの「木」が育ち、つながりの「森」が育ってきています。いろいろな取組みには、樹木でいうところの、根や幹や花や葉などそれぞれの役割があるでしょう。
森の輪プロジェクトの役割をいうならば、タネをまくことです。
一つは、生まれたばかりの赤ちゃんが、森や木にふれる。そのきっかけのタネをまくことです。赤ちゃんが初めてふれる木が、地域の歴史、地域の願い、職人さんの思いなどが込められた大切なものであるならば、きっと特別な瞬間になるはず。おうちの方とともに、育ってゆく過程で、その木を通して、地域の森に目を向けてくれたり、地域の人々のつながりに目をむけてくれたら、とっても素敵です。
もうひとつは、地域に森と人、人と人とのつながりのタネをまくことです。
多くの人にとって、必ずしも森は身近な存在ではありません。森に囲まれた地域であったとしても同様です。また、人のつながりがかつてより希薄になっているともいわれます。都会でも地方でも同じかもしれません。森の輪がそんなつながりを撚り直すささやかなきっかけになれたなら。

願いをこめた取組は続きます。

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森の輪プロジェクトプロモーション動画



◆森の輪プロジェクト 日月 伸

木育の種、咲かせた花〜第9回 コミもりという言葉 -  2023.12.18 Mon

第58回全国育樹祭の開催跡地「苫東・和みの森」の管理のお手伝いをすることになったのは、もう10数年前です。

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その経緯もいろいろありまして、今でも思い出すと背中が少しゾワゾワします。とにかく、森づくりとか林業とか、全く知識も経験もないぼくたちに、当時北海道の中で最も注目された「植樹祭跡地」の管理を任せる、という話です。その検討会議に出ても、周りは長年林業やってきました、とか、ずっと森づくりボランティアやってきました、というキャリア十分の大先輩たちの「お前、ホントにできんのかよ」的な、実に懐疑的な視線と雰囲気が充満していて、とても辛い精神状態でした。

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あまりにも辛くて、思考停止状態がしばらく続いていたのですが、そんな鬱々とした極限状態に身を任せていると、不思議なもので、自分の身体の奥底からぼんやりと、それを突破するようなイメージが湧いて出てくるような気がしました。

そもそも、みんな「森づくり」って言うけど、人間が森なんて作れるのか?そんな、奇跡の塊のような森を人間が作る、だなんて無理でしょ?それを作るだなんて、むしろ人間の傲慢というか、かなりの上から目線なんじゃないか?

そうやって、森の課題解決のために何ができるか、をストイックに考えていくのではなくて、森ではない他の課題を解決するための「場」「方法」として森を使わせてもらう、と目的と手段を入れ替えて考えてみると、少し霧が晴れていくような気持ちになりました。

世の中、とにかく人と人のつながりが薄くなっちゃって、それがいろんな問題を引き起こしている、で、それを解決すべく、つながりをもう一度復元させるとか、維持する機能として、まちなかに「コミュニティセンター」とか「公民館」とかあって、実直に機能を果たしているのだろうけど、結局囲碁教室とか、フォークダンス教室にとどまっているのは勿体無いよね、そこにもう少し生産性というか、分かりやすい成果をもたらすような機会があったらいいのではないか?と分析した上で、仮に、その場と機会が、まちなかではなくて、森の中にあったらどうだ?と考えてみると、そうか、それだったら、うん、ぼくでもできるような気がする・・・。

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つまり、それは里山ですね。
里山って、生産性とコミュニティ維持機能の両方を併せ持つシステムなんだ、と改めて理解できた瞬間、苫東・和みの森は「里山」としての利用でいいんじゃないか?と思ったわけです。しかし、知ったかぶりしてこんなこと言うと、「上田さん、ところで里山の定義はご存知ですか?」「北海道には里山的概念はないことを知ってますか?」などまた針のムシロに座らせられることは目に見えてます。ぼくたちそう言うことをずっと勉強してきたわけじゃないから、そんなこと言われたって、無理ですよ・・・。じゃあアンタやれ、って言ってもやらないでしょ?自分がやらないくせに、人がやろうとしてることに文句言うのはやめてくれよ。

てな話になるのは目に見えています。なので、里山という言葉を使うことはやめました。代わりに、「まちなかもいいけど、森の中に、コミセンとかあったらステキじゃないですか?苫東・和みの森は、そんな森のコミュニティーセンターになったらいいな、と思っています」と言い換えることで、ここだけの話、ケムに巻くというか、議論を回避するような作戦をたてたわけです。で、ここまでの思考やコンセプトをグッと一言で表せるなんかいい言い回しはないかな、ということで、森セン・・うーむイマイチ、森コミ・・・なんか違う、コミ森・・・?おお、コミもり・・・!!という言葉を作りました。

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つまり、コミもりとは、「現代社会に必要な北海道的里山の再構築」であり、実はかつてより北海道に住む人々が代々受け継ぎ維持してきた、世界に誇れる素晴らしいシステムを、それらしくちょっと今風に言い換えてみただけですね。でも、人々は世知辛い現代社会を生き抜くために、目の前にあるいろんな事情や都合を優先するあまり、北海道にそもそもあるその素晴らしさをどこかに置いてきてしまっている、としたら、「いやいや、他の国まで取りに行かなくても、すぐそこにありますよ、忘れてただけですよ」ともう一度気づき、思い出しやすくするものとして、「コミもり」という言葉がある、ということでしょうか。

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で、今、このコミもりという言葉が「木育」とか「森のようちえん」という言葉のように世間に広がっているのか?というと、実はそうではないです。作ったぼくたちですら、この言葉を口にする機会はそれほど多くありません。確かに、木育とか森のようちえんほどキャッチーではないというか、ダサいというか、イマイチかっこよくないとか、そういう側面もあると思います。でも、だからと言って、コミもりという言葉をもう一度広げようとか、プロモーションしようとはあまり思いません。コミもりというのは、概念であり、コンセプトであるので、木育とか、森のようちえんとか、森林活用とか、世間の皆さんがイメージしやすい言葉や手法の根底に根付いていると思うので、今更もう一度拡散しなくても良いかな、と考えています。仮にもし、北海道のどこかで、「うちの森、どうしよう・・」とかつてのぼくみたいに、思考停止状態になっている人がいたら、その解決のヒントとしてその人に届けば嬉しいし、コミもりではない新たな表現が生まれてくれたらいいな、というぐらいに考えています。



◆NPO法人いぶり自然学校 上田 融

道民森づくりの集い2023報告 -  2023.11.13 Mon

10月22日にサッポロさとらんど にて「道民森づくりの集い2023」が開催され、木育ファミリーは展示、物品販売で参加しました。

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当日は交流館とセンターの二箇所の会場に分かれ、昨年オープンした『食育✕木育』キッズコーナーがある、さとらんどセンターの一階では、木育マイスターによるワークショップも行われました。
木育ファミリーからも会員が木育マイスターブースに出展、ワークショップの“木のツリーづくり「森の中の私のお家」”では、参加してくれた子供達みんなが真剣に取り組み、出来上がった作品を笑顔で持ち帰っていたとのことでした。

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さとらんど交流館では19団体が参加して、展示、販売、体験などでにぎわいました。
木育ファミリーのブースでは、木育グッズやパネルの展示、感触や見た感じで選んだ木のたまごで木育占いを楽しんでもらったり、狭いブースの中でちょっと無理やり木育クリケットも設置。

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販売品は「木のたまご」、会員が製作した「ブンブンごま」や「木のお家」など。中でもブンブンごまは、今年も子どもたちに好評で、皆さん購入したその場で作り方を教わりながら組み立てて楽しく遊んだり、中には材料があるからお家で作ると言って写真を撮って帰った頼もしいお母さんもいました。

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当日は、寒空の下「道民ひとり1本植樹・育樹運動」キックオフイベントも開催され、鈴木知事も来ていました。

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会場に来てくださったみなさんが、木育を通して何かしら体感してくれていたらいいですね。

あれも木育、これも木育!


木育の種、咲かせた花〜第8回 木育の本 -  2023.10.15 Sun

2008年に『木育の本』刊行
~数多くの人たちに、木育を理解してもらうために企画・刊行~


 『木育の本』(煙山泰子、西川栄明、北海道新聞社)が刊行されたのは2008年秋。木育という言葉が生まれて4年目のことだった。
 当時、私は木育ファミリー会員になっていたが、漠然としか木育のことを理解していなかった。会員になったのも、取材で知り合った木工デザイナーの煙山泰子さん(当時、木育ファミリー代表)からのお誘いがあり、お付き合いで入会したというのが正直なところだった。『北の木仕事』『北の木と語る』など木に関連する本を上梓していたが、私にとっては、木育の概念を消化しきれていないというモヤモヤ感をずっと抱いていた。

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刊行のきっかけは、
木育関係者が呟いた言葉

 そんな折、札幌で開催された森林・木材関係のイベント会場で、知り合いの道庁水産林務部職員(木育推進プロジェクトチームメンバー)から「西川さん、木育の本を出せませんか…」というようなニュアンスの言葉がぼそっと発せられた。当時、木育について、わかりやすく説明してくれる本は見当たらなかった。道庁や木育ファミリーが発行するパンフレット類はあったが、それを読んでもすんなりと理解できなかった。
特に、子どもたちが「木のプール」(または、「木の砂場」)で遊んでいる写真が、ほとんどの木育を紹介する印刷物に大きく掲載されていたのも気になっていた。「子どもが木の遊具やおもちゃで遊ぶことが木育なのか。それだけではないはず。ほんの一部を切り取った写真によって、木育が誤解されて世の中に伝わっているのではないか」。こういう思いを持ちながら、木育についてモヤモヤしていたのだ。2006年に国がまとめた森林・林業基本計画では、木育を「木材利用に関する教育活動」と位置付けていた。木材利用に絞っている点に、少し違和感を覚えた。
 そこで、本を企画・執筆・編集することによって、木育にしっかり向き合ってみようと考えてみた。懇意にしていた北海道新聞社出版局の編集者に相談したところ、「北海道発祥の木育を紹介する本なら、社としても出版する意義がある」との返事をもらった。そして、出版企画が通り刊行が決まった。木工デザイナーで木育ファミリー代表の煙山泰子さんと西川の共著で進めていくことになる。

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具体的に木育はどういうものなのか。
わかりやすく解き明かす本を目ざした

 西川が作成した出版企画書の内容を一部紹介しておこう。本のベースになる考え方は「北海道生まれの新しい言葉『木育』をわかりやすく紹介する本」とした。企画の背景について、2004年の木育推進プロジェクトで討議されてまとめられた木育の定義*を踏まえて、以下のように記されている。
 「定義された文章は、理念として何となくわかった気になる。その通りだと思う。ただし、具体的にはどのようなものなのか。この疑問をわかりやすく解き明かした本を企画した。林業や環境教育などに携わっている人たちだけではなく、小学生から高齢者まで広く一般の方々に木育の考え方を理解してもらい、実践してもらえる本とする。写真やイラストを使ってビジュアルに展開していく」
 本の全体を通してのトーンはやわらかい雰囲気にして、木育は難しいものではなく、とっつきやすいものなのだということを示すように心掛けた。大学の先生方が執筆する木育の本は、どうしても堅苦しくなりがちなので。
 具体的な内容については、8つの項目を立て展開した。例えば、木育宣言(自分にとっての木育とは何かなどを表明する)の発表。共著者だけではなく、木育に関わっている方々にも執筆していただいた。本の中で多くのページを割いたのが、全国各地の木育の事例(ほとんどが、木育の言葉が生まれる以前から行われてきた活動)紹介。その他にも、共著者による木育をテーマにした対談、煙山さんによる「きょうから木育365のヒント」などを掲載した。

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発売後、木育関係者以外からも大きな反響が

 発売後、林業・木材関係者や教育関係者などをはじめ、木育関係者以外にも大きな反響を呼んだ。全国紙を含めた新聞やテレビでの紹介も多々あり、微力ながらも木育の普及につながっていったと思われる。北海道新聞読書ページ(2008年10月26日付け)の書評(中舘寛隆・北海道読書新聞社編集長)でも紹介された。「本書はこの木育を実践するために必要な情報をまとめた、初の入門書と言える一冊である。(中略)本書では木と親しみ、木に遊び、木から学ぶ活動など、さまざまな実践例の紹介を通し、その大きな可能性が示されている。」(一部抜粋)。

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 刊行して2年後の2010年、木育マイスター研修がスタートする。2023年度の14期生で新たに約50名が認定され、総勢約370名の木育マイスターが誕生している。現在、全道各地で木育活動が盛んに行われているが、木育の黎明期といえる時代に出版された『木育の本』は、木育の入門書的役割を果たしたといえるだろう。



西川栄明(編集者、木育マイスター育成研修講師)

*木育の定義
「木育とは、子どもをはじめとするすべての人が『木とふれあい、木に学び、木と生きる』取り組みです。それは、子どものころから木を身近に使っていくことを通じて、人と、木や森との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育むことです」

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