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「道民森づくりの集い2020」の報告 -  2020.11.16 Mon

当初「道民森づくりの集い2020」は5月9日に開催される予定でしたが、コロナ禍の影響により中止となりました。しかし、木育イベントなどの自粛による閉塞感の脱却や森づくりの大切さ等を伝える場を設け、さらに1年後に開催延期された「第44 回全国育樹祭」の開催に向けた機運の醸成を図るということから感染防止策の徹底等により10月17日道庁赤れんが庁舎前庭で開催され、木育ファミリーも例年通り参加しました。

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会員からは、熊尾さん、根井さん、斉藤夫婦、そして石狩振興局林務課の若い衆の横田さんがスタッフとして参加。ものづくり体験の内容は、二股の枝を使った枝ケン玉と、輪切り丸太のブンブン駒、葉っぱのフロッタージュの三種類でした。
通常なら観光客を含め大勢の人で賑わう場所ですが、今年はコロナ禍の影響で観光客は少なく、子連れのお客さんもまばらではありましたが、他のブースとの交流などを含め木育ファミリーのブースは途切れることなく、多くの方々に楽しんでもらうことが出来ました。

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木育ファミリーのブース(例年よりは手狭なブースです)

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スタッフが事前にお試し制作

参加された方々……
「私たちもいいんですか?」
昔懐かしい遊びは子どもだけでなく、大人の方も楽しみたいもの。懐かしい遊びは年齢には関係ないですね。孫に作っていく人もいれば、自分の楽しみ作っていく人も。
とある夫婦はぶんぶんゴマづくりをしてくれましたが、コマの重心を見つけるのは奥様は苦手。一方の旦那様はあっという間に見つけ出す。穴に紐を通して完成させたぶんぶんゴマを回し始めると旦那様は上手く回せないのですが奥様は易々と回し始める。形勢は完全に逆転。旦那様のつまらなそうな姿は印象的でしたね。
そして、今年は「北海道森と緑の会」が実施した赤れんが前庭の木々をめぐる「森づくりクイズ」と連携した「木の葉のフロッタージュ」を体験してもらいました。拾ってきた葉っぱをクレパスで擦ると葉っぱの細かな凸凹までが写し出され、子どもたちには喜んでいただきました。

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ぶんぶんゴマをお孫さんのために

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枝ケンのヘッドは様々。お気に入りのヘッドを選んで制作

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葉っぱのフロッタージュ

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例年なら削り馬を並べて、トンカチを作ったり、思い思いに木を削っていましたが、コロナ禍の影響により器具の消毒や人の配置を考慮し、今年は断念しました。削り馬は子どもたちと会話し触れ合いながら楽しんでもらえるもの。しかし、「新北海道スタイル」を実践しながらのイベント開催では現状では難しいです。この先どのような事態になってゆくかは全くわかりませんが、距離を保たず触れ合いながら「密」でイベントを楽しめるようになることは我々の願いかもしれません。


お話の木(その2)木の葉のたより -  2020.11.16 Mon

札幌の街に初雪が舞った。めっきり寒くなって木々は木の葉を落とし、足元には大量の落ち葉が積もった。こうなると私的には要注意だ。地面の形状が分からないうえに濡れていると滑るので、転ぶ危険性が増す。まあ、そうでなくても年中転んでいるので余りかわらないか? お前、ほんとにヤバいよ。夫が意地悪く笑う。
とはいえ、落ち葉の上を歩くのは嫌いではない。まだ、落ち葉が赤や黄色に染まっている時にはふわふわ。(ちなみに「もみじ」の語源は「揉みいず」で、あの色を揉み染めできると考えていた為であろうと、ものの本に書いてあった)乾いて茶色になると踏み心地は、ガサガサ、パリパリとなり、何とも楽しい。

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踏み心地を堪能しているうちにふと、「木の葉のしらせ」という言葉が頭に浮かんだ。
どこで聞いたっけ? しらせ? たより? 
「葉書」が木の葉がもとになっているのはわかる。そういえば郵便局の木は「多羅葉の木」だそうだ。タラヨウ。モチノキ科の常緑樹。葉は肉厚で光沢があり、長楕円形で大きい。葉の裏を引っかくと黒い跡がくっきりと残り、字や絵がかける。古来、手紙やお経を書き付けたそうで、お寺にもゆかりの深い木だそうだ。南の地に旅した折、初めて実物に出会ったが、見せてもらったその葉には、なるほど、くっきりと文字が浮かび上がっていた。しかし、私が引っ掛かっていたのは、もっと昔の記憶、子供の頃のはずだ。葉ももっと身近で、ありふれた……。

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そうだ! 大好きなメアリー・ポピンズのお話の中で出会ったんだ。メアリー・ポピンズはディズニーの実写版映画で有名だが、トラヴァースの原作では、あんな垢抜けた美人ではない。いかにもイギリスの田舎女性らしい赤ら顔のギスギスした感じの、イケずな自惚れ屋だ。それでも彼女はとびきり魅力的で、世界中の子供たちの心をぎゅっとつかんではなさない。
『ハロウィーン』のお話の中で、メアリー・ポピンズに公園に連れて行かれた子供たちは、風に吹き飛ばされて手の中に飛び込んできた、文字の書かれたカエデの木の葉を受け取る。
「木の葉をおとり、しらせの手紙! 」
老婦人が子供のころをなつかしんで言った言葉が、重要なキーワードとなり、素敵なストーリーが展開していく。イギリスは気候や植生が北海道とどこか似通っている。親しみやすい光景は、子供だった私を容易にお話の世界に連れて行ってくれた。同じような落ち葉の季節、強風のなかでメアリー・ポピンズの姿をさがしたことが、幾度あったろう。

公園の落ち葉にまつわる、ささやかなファンタジーを私も一つだけ持っている。ある年の落ち葉の季節のことだ。散歩中、近所の公園を通りかかった時、道路工事をしていた作業服姿の若い工員が公園脇の溝にまたがるようにしゃがみ込んで、一枚のオオバボダイジュの木の葉を拾い上げるのを見た。彼はていねいにしわを伸ばし、手の中で広げると、木の葉をじっと、ずいぶん長いこと見つめていた。まるでその中になにかを読み取ってでもいるかのように。私は彼がふるさとからの手紙を受け取ったのかも知れないと想像してみた。そこにはどんな慕わしい言葉が綴られていただろうか。今でもはっきりと、丸めた背中と穏やかな横顔を思い出すことができる。

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もし、降り落ちる木の葉のすべてに文字が書かれているとしたら。活字中毒の私は夢想する。どんなにか楽しいに違いない。できればそれはお話がいい。一人ひとりの心にある楽しいお話。メアリー・ポピンズが言うように、だれもが自分だけの、おとぎの国をもっているのだから。 
『公園のメアリー・ポピンズ』PⅬトラヴァース



◆木育マイスター/ようてい木育倶楽部 齊藤 香里

サンドペーパーのこと -  2020.11.16 Mon

KEMさんの木育生活11

木でものづくりする時、作品の完成度に差が出るのが仕上げです。木材の素材感を活かし、長く愛着を持って使うため、2回に分けてサンドペーパーとオイル仕上げについてお話します。

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木工の「陰の功労者」と呼べるのが、サンドペーパー(研磨布紙)です。
切ったり、削ったり、組立てたり・・・これらの加工の次には、かならずお世話になりますね。
研磨布紙の始まりは、12世紀頃より乾燥した鮫皮でものを擦り磨いていたようで、13世紀になると中国では貝殻をゴム質樹液で羊皮紙や皮につけて使っていたとのこと。
現在は、貝殻は人工研磨剤へ、ゴム質樹液はニカワ、レジンへ、羊皮紙は紙、布へと発展して多様な製品が作られています。
市販の紙やすりは研磨剤の粒子の粗さで分けられ番手で表示されます。
実際の木工に使う目安としては、おもに80~400番を用途に合わせて使います。
また、機械サンダーより手作業の方が番手の細かい物を使った方が良いでしょう。

 80番~100~120番(荒い)・・・サンダーによる粗削り、形の成形、荒肌仕上げ
 180番~240番(中くらい)・・・・素地の仕上げに最も良く使う。
 320番~360~400番(細かい)・・・・塗装前後の調整
 600番~800~1000番(ごく細かい)・・堅木の超仕上げ、塗装後の表面みがき
 ※裏が黒い油紙のものは、水/油砥ぎ用です

平面を手でかける時は、基準面ができるようにキャラメルの箱くらいの木片に紙やすりを巻きつけて使います。荒いペーパーで乱暴に磨いたキズは、意外と残るので木目に沿って均等にかけてください。
昔からある薄茶色の紙やすりは、研磨材に天然のガーネットを使っていますが、表面が白色のものは、目詰まり防止剤を塗布してあります。こちらの方が断然よく削れます。また、ベルトサンダーのベルトも、従来の茶色のアランダム(褐色酸化アルミナ)から、最近のセラミック砥粒のものまでいろいろと進化しています。

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究極にエコなのは植物の研磨材で、木賊(トクサ)と椋(ムク)の葉です。ムクノキは関東地方以西の温暖な地域に生育する落葉高木で、別名ムクエノキとも呼ばれ、ケヤキやエノキと同じニレ科の樹木です。トクサは北海道でも身近に見られる植物で、アイヌ語では「シプシプ」と呼びます。いずれも採取後に陰干しして、トクサはそのまま、椋の葉は破れ易いためガムテープなどで葉の表を裏打ちし、ザラツキの強い葉の裏を研磨に使います。ザラザラはトクサと同様に、植物の表面がケイ酸質の物質で覆われているからです。つまり自然が作ったサンドペーパーです。爪切り後の先端をなめらかにすることなどもできるので機会があれば試してみてください。

ところで、紙やすりは使い捨ての消耗品だと思っていませんか?
数回使ったものでも、表面についている削りカスを払えば、少しソフトな細かいものとして曲面の磨きや、塗装前の仕上げに使えます。また、プラスチック、陶器や金属も削れるので、買ったばかりの陶器の裏のザラザラ取りなど日常にも利用できます。しかし、素材を削り取ってしまうので表面処理してあるものは注意してください。また、健康のために削りかす(粉)を吸い込まないよう気をつけましょう。



◆KEM工房/木育ファミリー顧問 煙山 泰子

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