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木育の種、咲かせた花~第3回 積丹発大人の木育としての「クラフトジン」 -  2023.04.16 Sun

私が木育という言葉に出会ったのは、平成16年に道内建設コンサルタント会社から北海道庁知事政策部に出向した際のこと。当時、知事政策部が庁内に募集した協働政策に水産林務部から「木育」の趣旨が提案されたのが始まりです。
当時、「木育」と言っても、「食育」のようにわかりやすい理解を得るため、窓口担当として、水産林務部や各方面の専門家とともに、その概念や取組範囲について議論を重ね、「木育」の原型を作り上げたのが良い思い出です。
そのころ、道内の木工家による「木のおもちゃ」や、東川町で始まった「君の椅子」、森を学ぶプログラムなどが私にとってわかりやすい木育でしたが、もっと日常的で収益にもつながるものがないものか、といろいろ思いを巡らせていたことを思い出します。
時は経ち、2015年(平成27年)、平成19年に独立開業した農林水産業のコンサルタント会社、(株)GB産業化設計で、積丹町の遊休施設や耕作放棄地の有効活用を促進する冊子づくり(プロジェクトブック)の仕事を請け負い、調査を進めていたところ、ヒントを得ようと訪れた「木のおもちゃ」の第一人者であり、木育の生みの親の一人でもあるKEM工房主宰の煙山泰子さんから、スコットランド「BLACK WOODS蒸溜所」と「ジン」の存在を紹介され、風も強く、寒冷な気候の積丹に合っているのではないか?とのアイデアをいただきました。

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積丹町では、内閣府が主導する「地方創生事業」の提案機会にプロジェクトを提案するタイミングにあり、役場の皆さんや、煙山さん、それに植生のプロなどを加えたプロジェクトチームでつくった提案内容が通り、町長、副町長、課長さんたちの満場一致をもって、「地域の植生を活用したスピリッツ開発事業」がスタートを切ることになりました。
そもそも、「ジン」というお酒は、ヒノキ科の球果であるジュニパーベリーを主原料として、37.5度以上の蒸留酒という定義があり、イギリスやドイツを中心に世界各地で日常的に飲まれるお酒ですが、とても面白いと思ったのは、地域の特産的なボタニカルフレーバーを加えてオリジナリティを表現していることでした。日本でも私たちが検討を開始した2016年に「京都蒸溜所」が「季の美」というブランドでジン専門蒸溜所を開設するなど、日本における「ジン」ブームがここから始まっています。
「積丹ジンプロジェクト」は京都に後れをとったものの、耕作放棄地を耕し自らがハーブや香りのする樹木を植えるなど、原料生産から立ち上げる路線をたどる一方、2016年の冬にスコットランド、イギリスを訪ね、ロンドン中心部にあるシティオブロンドン蒸溜所にで、ジンのレシピのヒントを得て、2017年、広島にある酒類総合研究所との共同研究(試験蒸溜)を経て、独自のレシピの原型を確立しました。

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積丹ジンの最大の特徴は、ボタニカルの香りを最大限に引き出すため、自社生産・採取したハーブや樹木の実や枝、葉などを原料化し、植物毎に別々の蒸溜を行い、ジンのベースとブレンドして作り上げる方法にあり、この方法により、関心を持っていただける多くの皆様に参加いただきながらオリジナルのジンを作り上げるプロセスが可能となりました。
煙山さんも私も、木育創生期からその理念を話し合ってきた仲間であり、双方に考えていた蒸溜の形は、すなわち木育の形であったということになります。
ジンは香りのお酒、積丹半島や北海道に自生するボタニカルに着目し、その自然の恵みからヒントを得た蒸溜酒は、植生や木育、お酒の専門家により立ち上げられる道をたどり、原料生産から原料化、蒸溜、ブレンドをすべて自社に内製化した世界でも珍しい蒸溜所となりました。
この取組も評価され、2022年、初出品した東京ウイスキー&スピリッツコンペティションにおいて、日本の数ある銘柄での中で金賞受賞(全体の5位の評価)を得て、その存在が国内、世界に知られるところとなりました。

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私たちは、積丹半島の自然に生かされながらジンという香りのお酒づくりを営む会社です。
これこそ私がイメージしてきた、自然とたわむれる大人の木育の世界。
この世界に磨きをかけ、積丹半島に、そして北海道に、世界からたくさんの人たちが遊びに来て「木育」(MOKUIKU)が世界に広がることを願っています。
北海道からはじまった日本の「木育」を、ジンを飲んで世界の「MOKUIKU」として広げていきましょう!



◆(株)GB産業化設計/(株)積丹スピリット 代表取締役 岩井宏文


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