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木育の種、咲かせた花〜第10回 森の輪 mori no wakko -  2024.01.14 Sun

【はじめに】
木育が誕生して20年を迎えます。
樹木の20年というと、タネから芽生えた木が、若木を超えて成木(せいぼく)になりつつあるころ。全体を支える幹を持ち、枝を広げてたくさんの葉をつけ、早いものでは花を咲かせ、種を実らせる木もあります。
さて、今回ご紹介する森の輪プロジェクトは、「木育」の理念にも深く通じるところがあり、このリレーエッセイのテーマ「木育の種、咲かせた花」になぞらえるならば、森の輪プロジェクトの取組みも、木育が咲かせた花の一つといってもよいかもしれません。

【森の輪(わっこ)プロジェクトとは】
森の輪プロジェクトは、生まれてきた赤ちゃんに、ドーナツ型の木のおもちゃ「森の輪」を贈る取組みです。森の輪は、乳児期の赤ちゃんが、にぎったり、くわえたり、なめたり、ころがしたり、発達に合わせて遊べるよう、発達段階や体の構造、安全性などを考慮してデザインされています。赤ちゃんがはじめて木にふれる機会を大切にし、良質なおもちゃを贈って、赤ちゃんの誕生を祝い、子供の成長や、子育てに寄り添いたいというのが一つ目の願いです。

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もう一つが、「森の輪」の名称にもこめた「森と人、人と人とのつながりの輪が生まれ、広がってほしい」という願いです。子供たちに、木や森、自然にふれあって育ってほしい。地域の人たちとつながりを深めてほしい。取り組みを通じて地域が元気になってほしい。そんなささやかなきっかけになれたら、という願いをこめて取組みを進めています。

【地域で取り組む】
大切なこだわりは「地域」です。市町村が主体となり、地域で育った木を使い、地域の職人さんが加工し、地域で生まれた赤ちゃんに贈ります。地域で取組むことにこだわっているため、一般販売はしていません。
使う木はそれぞれの自治体で選んでいただきます。「市町村の木」になっている樹木や、廃校の校庭の木など、それぞれの地域の思いをこめて木を選んでいただいており、これまで13種類の木が使われています。
加工、製作するのは地域の職人さんや工場です。森の輪はシンプルな形状で、簡易な工作機械による手作業でも製作できるので、それぞれの地場の工場などで製作することができます。現在、道内外各地の木工所等との協力体制ができています。当初は、基本的には各地の工場で製作することを想定していましたが、池田町では地域おこし協力隊の方が、伐採から製材、製作、贈呈までを一人でやってのけ、沼田町でも同様の取組が続きました。近年広がっている自伐型林業になぞらえるなら、「自作型森の輪」です。これは新たな地平を切り開いてくれました。
新生児へは、自治体での出生届受理の際や、乳幼児健診の際に贈呈していただいています。木を切る人、板にする人、森の輪に加工する人、届ける人、それらをつなぐ人…地域の多くの人の手を経て、森の輪は赤ちゃんのもとに届けられます。

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【広がる取組み】
森の輪プロジェクトは現在、北海道内を中心に23自治体で取り組まれています。
森の輪プロジェクトでは、基本的な枠組み以外はほとんど決め事を設けず、自治体ごとに自由度をもって取り組んでいただいています。最低限のレシピを共有して、味付け、盛り付け、献立はご自由に、というスタイルです。むしろ、森の輪を一つの素材にして、それぞれの自治体で素敵な料理に仕上げてほしいというふうに考えています。そのため、例えば、森の輪を入れる袋を自治体の手芸サークルの方々が刺繍をいれて手作りしたり、製品に子どもの名前と誕生日を刻印して特別感を持たせたり、といったように自治体ごとに特徴的な取り組みが生まれています。「自作」の動きもそんな自由度から生まれたものでしょう。森の輪の取組みを通じて、地域の方々の活躍の場が広がったり、地域の事業所の雇用が創出されるなどの効果も生まれています。
 
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【森の輪の思い】
さて、北海道で生まれた木育は20年の歳月を経て、各地で関わる人や取組みの「木」が育ち、つながりの「森」が育ってきています。いろいろな取組みには、樹木でいうところの、根や幹や花や葉などそれぞれの役割があるでしょう。
森の輪プロジェクトの役割をいうならば、タネをまくことです。
一つは、生まれたばかりの赤ちゃんが、森や木にふれる。そのきっかけのタネをまくことです。赤ちゃんが初めてふれる木が、地域の歴史、地域の願い、職人さんの思いなどが込められた大切なものであるならば、きっと特別な瞬間になるはず。おうちの方とともに、育ってゆく過程で、その木を通して、地域の森に目を向けてくれたり、地域の人々のつながりに目をむけてくれたら、とっても素敵です。
もうひとつは、地域に森と人、人と人とのつながりのタネをまくことです。
多くの人にとって、必ずしも森は身近な存在ではありません。森に囲まれた地域であったとしても同様です。また、人のつながりがかつてより希薄になっているともいわれます。都会でも地方でも同じかもしれません。森の輪がそんなつながりを撚り直すささやかなきっかけになれたなら。

願いをこめた取組は続きます。

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森の輪プロジェクトプロモーション動画



◆森の輪プロジェクト 日月 伸

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