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絵本『夜の木』 -  2022.02.15 Tue

私の手もとに、一冊の黒い本があります。
英語の原題は「The Night Life of TREES」(邦題「夜の木」)という、インドの大型絵本です。
表紙も中のページも黒い手漉きの紙に、シルクスクリーン版画でたくさんの木が描かれています。

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この本と最初に出会ったのは、2007年のこと。東京にオープンした大型複合施設の素敵なリビング用品店のウインドウに、さりげなく置かれていました。閉店後の夜の時間だったので直接手に取ることができず、心惹かれる思いで表紙を見つめた思い出があります。
まだ「木育」が生まれたばかりの頃は、いつもそんなふうに木や森にアンテナを張り巡らしていたのです。

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それから10年経って・・・ついに絵本『夜の木』は、私の所へやってきました。
日本からはるか6000キロ、南インドの出版社で作られたハンドメイド絵本です。
インド中央部に暮らすゴンド族の民俗画家3人により描かれた、聖なる木々の夜の姿が短い文章と見開きページに19本。黒くて厚い紙の感触からも、夜の雰囲気が伝わってきます。
絵のテーマは、ゴンド族に共通する記憶に深く根をおろした物語や信仰と結びついているとのこと。
この小さな出版社(タラブックス)は、民俗画家に著作権の概念を伝えたり、従業員に等しく教育の機会を与えるなど、企業活動を通してより良い社会を築く試みを続けています。

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世界各地には「木にまつわる物語」があり、古来より続く人々の暮らしや習俗と結びついています。
冬の夜、北海道の木や森にまつわる物語をもう一度訪ねてみたいと思うようになりました。



◆KEM工房/木育ファミリー顧問 煙山 泰子

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