木育の種、咲かせた花~第6回 サッポロの山 サッポロの木 サッポロの人 - 2023.08.14 Mon
木育のキーワードの中に「木から人と森のつながりを考える」と「五感を育む」があります。私たちのまわりでは、一枚の紙から家具や建物にいたるまで木がたくさん使われているのに、その木が生きていた森を想像できる人はどれだけいるでしょうか?木と五感でふれあうことで、人も自然の一部であることを実感し、自然に対する思いやりや優しさを育むことが、木育の目指す姿の一つです。
このキーワードを実感できるイベントが、先日2023年7月8日に札幌でありました。その名も「サッポロの山 サッポロの木 サッポロの人」。
イベントの主役といえる存在が、札幌南高等学校林で2018年の台風で半倒れになったハルニレの木でした。この木は半分根が浮いていて、近くのカラマツ3本に自重を支えられている状態でありながら、残った半分の根で命をつなぎとめ、5年経った今も生きた葉を茂らせていました。

ハルニレの木を伐採し木製品として生まれ変わらせるために、道内で活躍する木こりや木工家をクリエイティブオフィスキューというタレント事務所のお笑いコンビ「オクラホマ」の河野真也さんがつなぎ、集めたのがこのイベントでした。サッポロの山で育ったハルニレという木の元に、伐り手、作り手、そして木製品の買い手となる人約50人が集まり、直接林業の現場に触れ、木工家と欲しいものを相談して製品を買うという、生産者と消費者の顔が見えるものづくりが実現したのでした。

イベントでは、学校林を散策しながら、森の手入れをしている木こりの足立さんが、木の種類や森の手入れをするための作業道の作り方などをわかりやすく説明してくれました。

そして森の中に突然現れる木工家ブース。参加者は実際の作品イメージを見ながら、ハルニレで制作してほしいものを作り手と相談して決め、約1年後の仕上がりを待つことになります。完結まで1年かかるイベントを、私は他に知りません。ちなみに私は、チエモク㈱でヘアアクセサリーをオーダーしました。完成が楽しみです。

ではもう一つのキーワード「五感を育む」は?
視覚:森の緑、木によって異なる葉の形、樹皮の模様、目の当たりにする伐採現場の迫力
聴覚:木こりさんの優しい解説、葉にそよぐ風の音、チェーンソーの爆音
嗅覚:森の中で感じる葉、土、空気の色んなにおい
触覚:この日の札幌市の街中気温は30℃超え。それに比べて森の中はひんやりしてなんと心地よかったことか。
味覚:木は食べられないじゃないかと侮るなかれ。散策中に見つけた桑の実を取って、おそるおそる食べてみる子どもたち。ベリー系の酸っぱさと甘さに歓声が上がりました。

私がいいなと感じたのは、「森は気持ちいい」「木製品が素敵」だけでは終わらないイベントだったこと。伐採作業には危険が伴い、森の中ではスズメバチも飛んでいました。伐採した木を乾燥して、製品に加工できるまでには1年近い期間が必要なことも、マイナスに捉えられるかもしれません。
でも、林業・木材産業のいいも悪いも含めて知ってほしい。興味を持ってほしい。山と木と人がつながると、新しくて楽しい何かが生み出せる。それを実感できるイベントでした。これからもこんなイベントが開催されてほしいし、自分たちでも提供できるようになりたい。そう思います。
(文 水産林務部林業木材課 根井三貴)
このキーワードを実感できるイベントが、先日2023年7月8日に札幌でありました。その名も「サッポロの山 サッポロの木 サッポロの人」。
イベントの主役といえる存在が、札幌南高等学校林で2018年の台風で半倒れになったハルニレの木でした。この木は半分根が浮いていて、近くのカラマツ3本に自重を支えられている状態でありながら、残った半分の根で命をつなぎとめ、5年経った今も生きた葉を茂らせていました。

ハルニレの木を伐採し木製品として生まれ変わらせるために、道内で活躍する木こりや木工家をクリエイティブオフィスキューというタレント事務所のお笑いコンビ「オクラホマ」の河野真也さんがつなぎ、集めたのがこのイベントでした。サッポロの山で育ったハルニレという木の元に、伐り手、作り手、そして木製品の買い手となる人約50人が集まり、直接林業の現場に触れ、木工家と欲しいものを相談して製品を買うという、生産者と消費者の顔が見えるものづくりが実現したのでした。

イベントでは、学校林を散策しながら、森の手入れをしている木こりの足立さんが、木の種類や森の手入れをするための作業道の作り方などをわかりやすく説明してくれました。

そして森の中に突然現れる木工家ブース。参加者は実際の作品イメージを見ながら、ハルニレで制作してほしいものを作り手と相談して決め、約1年後の仕上がりを待つことになります。完結まで1年かかるイベントを、私は他に知りません。ちなみに私は、チエモク㈱でヘアアクセサリーをオーダーしました。完成が楽しみです。

ではもう一つのキーワード「五感を育む」は?
視覚:森の緑、木によって異なる葉の形、樹皮の模様、目の当たりにする伐採現場の迫力
聴覚:木こりさんの優しい解説、葉にそよぐ風の音、チェーンソーの爆音
嗅覚:森の中で感じる葉、土、空気の色んなにおい
触覚:この日の札幌市の街中気温は30℃超え。それに比べて森の中はひんやりしてなんと心地よかったことか。
味覚:木は食べられないじゃないかと侮るなかれ。散策中に見つけた桑の実を取って、おそるおそる食べてみる子どもたち。ベリー系の酸っぱさと甘さに歓声が上がりました。

私がいいなと感じたのは、「森は気持ちいい」「木製品が素敵」だけでは終わらないイベントだったこと。伐採作業には危険が伴い、森の中ではスズメバチも飛んでいました。伐採した木を乾燥して、製品に加工できるまでには1年近い期間が必要なことも、マイナスに捉えられるかもしれません。
でも、林業・木材産業のいいも悪いも含めて知ってほしい。興味を持ってほしい。山と木と人がつながると、新しくて楽しい何かが生み出せる。それを実感できるイベントでした。これからもこんなイベントが開催されてほしいし、自分たちでも提供できるようになりたい。そう思います。
(文 水産林務部林業木材課 根井三貴)