topimage

木育の種、咲かせた花~第7回 木育建築のススメ -  2023.09.19 Tue

10年近く前に「木育建築のススメ」というタイトルでブログを書きました。その後、北海道ではこの木育建築が少しずつ増えているように思います。住宅だけではなく、公共建築や教育施設、商業施設などにおいて、木とのふれあいを大切に建てられる建築が多くなっています。こうした木育建築が増えることは、北海道という地域が自然環境に恵まれ、木や森と深く結びついた生活をしていることの証です。これまで森林環境を豊かに守り、木材産業を質高く育ててきた先人達の地道な努力の結果でもあります。

建築の構造材に木材を使っていることを一般的には「木造建築」と呼びますが、建築空間における木材の持つ良さや可能性を伝えるものではありません。この20年の間に、単なる木造建築ではなく木育建築と呼ぶのが相応しい建築が増えています。人の生活のなかで「木とふれあい、木に学び、木と生きる」ことを大切にした木育建築をしっかりと評価して、木育の理念を感じる建築をこれからも増やしていきましょう。
ではあらためて木育建築とはどのような建築なのか考えてみます。
一つ目はそこで使われている木材が周辺地域の森とつながっていること(地産地消)、二つ目はその中に地域の歴史や風土とのつながりが感じられること(地域風土)、三つ目はその建築技術に地域の産業とのつながりが見えること(地場産業)、四つ目は木のぬくもりがそこに集う人を優しく結びつける建築であること(木質空間)など、厳密ではありませんがそのような建築と木質材料の関係が条件となるでしょう。

202309_01.jpg
小樽教会 外観

202309_02.jpg
礼拝堂内部
 
では「日本基督教団 小樽教会」を例に、木育建築の特徴を見てみたいと思います。延べ面積400㎡の木造2階建ての教会ですが、木育建築のモデルとなるよう計画されました。150年の歴史ある小樽教会です。この永い信仰の伝統を目に見える形で表現すべく、初代教会の床材,椅子,説教壇,聖餐台,大中小三つの鐘などを、新教会に再利用して活かしています。古く壊れかけた家具類を丁寧に再生することで、記憶装置としての木の力と魅力を引き出しました。

202309_03.jpg
家具とレリーフ

202309_04.png
構造架構図

木材はこの教会建設のために倶知安町の森で伐採したカラマツ材を用い、無駄が出ないように構造材や外装材に使用しています。礼拝堂の架構は一般的な長さ3.6mで断面12×35cmに加工した無垢の製材を用い、集成材を使わない新しい構造架構方式による建築デザインを目指しました。古い教会の床に使ってきた道産ナラ材のフローリングなども再利用しています。新旧の木材が目に見え、手で触れられるように使用することで、木のぬくもりと優しさが感じられる建築です。ぜひ外部だけではなく内部の空間も体験してください。鳩の木製レリーフが迎えてくれるはずです。



◆建築家 下村 憲一

木育の種、咲かせた花〜第8回 木育の本 «  | BLOG TOP |  » 木育の種、咲かせた花~第6回 サッポロの山 サッポロの木 サッポロの人

最新記事

カテゴリー

NEWS (13)
木育ファミリーの活動 (22)
木育の種、咲かせた花 (13)
あれも木育、これも木育 (11)
木育リレーエッセイ (21)
連載 (36)
広報活動 (1)
会員数と賛助会員紹介 (1)
お問い合わせ (1)
未分類 (0)

リンク