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木育の種、咲かせた花〜第14回「木育マイスター1期生の雑感」 -  2024.05.12 Sun

「木育マイスター1期生です」と名乗ると、思いのほか先輩扱いされることが多く、単に認定をいただいたタイミングが早かっただけで、大したことはしていないのですが、それでも周囲の皆さんのお陰で、木育マイスターとしての活動を長く続けさせてもらっていることは確かなこと。このコラムのご依頼をいただいたのを良い機会として、これまでのことをちょっと振り返ってみようと思います。

■木育マイスター育成研修にて
木育マイスター1期生は、平成22(2010)年度の認定です。自然ガイドである私は、当時は旅行会社のアウトドアガイド部門に所属し、森の中の散策などを案内していました。森の中で過ごす時間は好きでしたし、樹木のことは何となく観察して、ある程度分かっていたつもりでしたが、木材になった後の木のことは全然知識が無かったので、ガイドのネタ集めや、自分自身の活動の幅が広がることを期待して申し込んだのを覚えています。
以前からも自然系、環境教育系の研修会には参加していたので、この木育マイスター育成研修も同じように、いわゆる自然系の方が多く参加しているのではないかとイメージしていましたが、実際に参加してみると、私のような職種はかえって少数で、様々なジャンルの方が「木育」に集まってきているのが驚きでした。

■木育マイスターになってからのこと
私が住む弟子屈町(てしかがちょう)は、町域の6割ほどが、阿寒摩周国立公園のエリアにあり、その情報拠点である川湯エコミュージアムセンター(現川湯ビジターセンター)に勤めていたこともあったため、地域の子ども向けの自然体験活動にも元々取り組んでいました。ただ、地元の子どもたちに、「国立公園の自然を学ぼう!」とか言っても、どこかハードルが高い気がしていて、その前のステップとして、自然の中で楽しく過ごせる素地を作って行かねばならないのではないかと感じていた時に、木育という視点に出会うことができました。
実際に小中学校の地域学習のお手伝いをする機会をいただくこともありますが、児童生徒にとっての身近な自然観察は校庭の周りで十分。北海道記念保護樹木に指定されている巨木が学校敷地内にあったり、やたらと樹種が豊富だったり、さすがは国立公園がある町だなぁと思いますし、「木」を軸に学校の歴史を紐解いてみると、例えば、かつては林業で地域が栄えていたことや、学校林の収益で備品を購入したなんて逸話とか、色々なことがつながってきます。木育という視点を活かして、身近なところからまずはコツコツと子どもたちの地域への認識を広げていければと考えています。

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(校庭をぐるっと1周しただけでも、たくさんの種類の樹木が観察できます)

北海道知事認定の木育マイスターという看板は。その後フリーランスで活動することになった私にとっては、同じく道知事認定のアウトドアガイド資格とともに、信用の担保になるもので、ライフワークとして取り組んでいる地域の子どもたちへの自然体験活動を進める上で、町や学校と連携して活動するにはとても役立っています。

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(広報紙にも取り上げていただきました。(広報てしかが2012年4月より))

■「木育は“つながり”のキーワード」
木育は「つながり」のキーワード、と言われています。学校現場にお邪魔する他にも、私がたまたまカラマツ林の管理人をしていたこともあって、幼児でも森の中でのびのびと遊べるよう「原野のもりの木育ひろば」も定期的に開催していました(コロナ禍から開催はストップしています。今年こそは再開したいところ…)。
元々は、森と木・森と人をつなぐ場をイメージして開催してきましたが、同時につながったのは「人と人」でした。開催していた木育ひろばは、親子で参加していただくスタイルですが、結局親子がバラバラになることが多く、よその子どもをかまったり、両親じゃない大人に甘える子ども達の姿は、とても温かい場であったと思います。

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(カラマツで作った積み木を参加者の皆さんでペーパー仕上げ。ここに写っている全員が別の家族です)

個人的には、子どもそっちのけで木工作などに没頭する(時々寄ってくる子ども達を巻き込んだりもする)父ちゃんの姿も好きです。

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■木育マイスター道東支部のこと
もう一つ、人と人がつながったのは、木育マイスター同士。冒頭にも触れましたが、育成研修では、私がイメージしていた自然系ばかりでなく、様々な職種の木育マイスターと出会うことができて、とにかく仲間に恵まれました。それまでは、自分1人で樹木も木材も手掛けられる人材になることを考えていましたが、自分以外のジャンルは、その専門のマイスターに任せればよいだけなので、自分自身の気も楽ですし、専門性のある仲間に任せられるのでプログラムの質も上がります。私自身、木育マイスターが集結する場では、どちらかというと場をコーディネートする役割を意識して取り組んでいることが多いのではないかと思っています。…とか言っていると、木育の師であるM氏には「お前は、たき火でマシュマロ焼いてるだけだろ?」と言われてしまうわけです。はい、精進します…。
 こうしたマイスター同士のつながりが、主に釧路・根室管内の木育マイスターおよび関係者とともに「木育マイスター道東支部」として立ち上がっています。相互の情報交換や研修(ただの飲み会も異業種交流で盛り上がります)、何かイベントを開催した際に集結したりと、個人では動きにくいマイスターにとっては活動の受け皿となり、つながることでのやりがいや楽しさを持続していくことができているものだと思います。
マイスターの人数は少ないエリアですが、稼働率の高さはアピールしておきたいところです!

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■そして、次世代への「つながり」
私は2女の父親として、家庭に軸足を置いた“主夫”と名乗ることもあります。育成研修を受講した時も、ちょうど次女が生まれた年でした。我が家はカラマツ林に囲まれているので、日々森の中に暮らしがあることや、家庭と学校以外の人間関係をたくさん作る、という教育方針のもと、私が出番をいただいた木育活動の現場には可能な限り娘たちを連れていきました。変な、、いや個性あふれる木育マイスター仲間とふれあいながら、皆さんのお陰で成長していったように感じています。木育は暮らしの一部。木育の“つながり”が我が家の育児には非常に良い影響を及ぼしています。
こうした、いわば木育ネイティブともいえる世代の娘ですが、長女は今年で18歳。どういう風の吹き回しか、木育マイスターになりたいと言い出していますが、はたしてどうなるのか??

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(木育イベント前、薪ストーブに着火してから部活に行くJKの図)

「木育」は今年で20周年。様々なつながりを生む木育は、次世代へとつながっていくように感じています。1期に認定をいただいてから蒔いてきた種が、少しずつ芽を出しているのでしょうか。出てきた芽が花を咲かせ、そして実を結んでいくよう、次世代に期待しつつ、私自身も地道に取り組んでいこうと思います。


◆てしかが自然学校 萩原寛暢

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