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旅は木育、世は情け(2/3回)おどろき桃の木編 -  2019.03.18 Mon

おどろき、桃の木、山椒の木、ブリキにタヌキに……。
この続きを知っていますか?「男はつらいよ」のトラさんでは、「ブリキにタヌキに蓄音機」。
私の好きなアニメの「ヤッターマン」では「洗濯機」。でも、私がこの地口を最初に覚えたアーサー・ランサム著「ツバメ号とアマゾン号」の大好きなナンシーの口癖では「陸蒸気」。
おかじょうきとは、蒸気機関車のことで明治の初め日本初の鉄道が開業し、当時はたいへんな評判となったのでこんな言葉が流行ったのだろう。「古い!」と夫に一蹴されてしまった。
ともあれ、今回はへんな木のはなし。

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『ビランジュ』を見たのは三重の神社の境内だった。真ん中にでんとかまえたそいつは、木のくせに弁柄でお化粧したように艶めかしい朱色の肌をしていた。
「これはさ、別名バクチの木といって、なぜかというと定期的に脱皮するんだよ。ばくち打ちが負けて身ぐるみはがされてすってんてんになった様子になぞらえて、そんな名前がついたのさ」
案内してくれた人がそう言って皮がむけてツルツルになった幹を指さす。
「ほら、見てごらん。ここに樹皮をはぎ取った跡があるだろう? ばくち好きなやつが、お守りとして持っていくんだ」
見るとなるほど、幹に小さな四角い傷がついている。だけど、すってんてんになったお守りなんて持っていてどうするんだろう? 負けるのも嬉しいくらいギャンブル好きってこと? 気持ちが分からない……。
「実は他にもこの木をあがめてる人たちがいてね。誰だと思う? ……ストリッパーだよ」
これは分かる。脱いじゃうからね。でもいまどきストリッパーなんて職業、存在してるのかね? 思いながら赤い幹をつるっと撫でた。バクチの木が、「いやん」と言った……ということはなかった。でも帰りしな、石段の落ち葉で滑ってふわりと尻餅をついた。もしかして、からかわれたのかも。
「おさわりはダメよ」ってか? 
石段に手をついて、彼女を振りあおいだ。「また来るぜ」

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別の神社でしめ縄のかかった『杉』の大木を見たとき、根本近くの幹に小さな長方形の切り込みがあるのに気づいた。ノブこそないが、まわりが二重になっていてまるでドアの桟みたい。
「何だろうこれ。小人さんのお家かな? 」夫の返事はにべもない。
「小人はお前だろ。そんな小さい足してるから、しょっちゅうころぶんだよ」
古木だったので多分お手入れに関係あるのだろうと思うが、この話に結論はない。

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旅先で、とある方の家をお邪魔したとき、お庭に『黒柿』の木があった。黒柿は木の種類じゃなく、柿の木にタンニンがしみて、黒い模様ができるのだと教わった。
「黒柿は魔性の木だよ。切ってみるまでは中がどうなっているか分からない。だからすごい高値がつく、最高の孔雀杢を求めて、こんどこそと切っていく内に身代を潰すんだ」
見ると工房には体験用のコースターの材料がおいてあった。一組300円くらいだったと思う。その中になんと黒柿の材も混ざっていた。「なんでだか、みんな黒柿ばっかり使うんだよね」主人は首をかしげていた。
そりゃ、そうだろう。私だって、黒柿を選ぶ。でも、この家の主人は欲で身代を潰す心配はなさそうだな、と、少し安心した。

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それから、『藪椿』の林に行ったときのこと。みんなあまりにも大木で、ほとんど花が見えず、しかたないので落ちている花でお花見をしたこと。でも幹がクネクネしていてモダンアートの作品みたいで面白かったこと。他にも話したい木のことはいっぱいあるが、また長くなってしまった。しょうがないので、あとは次回につづく、ということにする。次回は最終回。
もう少しだけ、お付き合いいただければ幸いである。

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◆ようてい木育倶楽部/木育マイスター 斎藤 香里

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