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しらかんばの「樹皮」 -  2019.06.20 Thu

「しらかんばずかん」6月号

幾分かの湿度をたたえた白樺林でした。
白樺の幹にナイフで切れ目を入れると、そこからフワーッと、まるで浮きあがるように樹皮がめくれていきました。
数年前の夏、白樺樹皮細工の作家さんにご一緒していただき、初めて樹皮採取をした時の記憶は今も鮮やかです。樹皮をはぎ取った後の白樺の幹は、しっとりと冷ややかで木の静かな生命を感じたような気がしました。
白樺の樹皮はしなやかです。でも、それで編み上げたカゴはとても丈夫で、何年も使い続けることができます。
北の大地に真っ先に芽を出し、根をはって、やがて林をつくる、パイオニア(開拓者)ツリーとも呼ばれる白樺。しなやかさとたくましさは、白樺の木そのものの生き様にも重なるような気がします。


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◆帯広の森はぐくーむ/木育マイスター 日月 伸

しらかんばの「芽生え」 -  2019.05.15 Wed

「しらかんばずかん」5月号

木々が芽吹き、日に日に緑がこくなってきました。
そして、春は多くの木々の「タネの芽生え」の季節でもあります。

北国に育つ木々の多くは、夏から秋にかけてタネが成熟して地面に落下し、そのまま冬をタネの状態でやり過ごし、春を迎えてから発芽します。
秋に芽生えないのは、芽生えた状態で厳しい寒さの冬を越すのは非常にリスクが高いからと考えられます。

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ですが、この点でシラカンバはちょっと変わりダネです。
シラカンバのタネは夏ごろから成熟して地面に落下し、そのまま越冬してから春に発芽するものもあるのですが、一部は秋のうちに発芽します。
秋に発芽した場合、冬を越せないリスクはあるものの、その年の冬の寒さがさほどでなく無事越冬できた場合には、成長のスタートが早かった分、春に芽生える他の植物よりも早く大きくなれる可能性があるのです。

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春に発芽するメリットとデメリット、秋に発芽するメリットとデメリット。
それらを両方に分散して賭けることで、子孫を残す確率を高めているのだとか。
シラカンバの生き様、なかなか巧妙です。

(追伸)これは、文字通り地面をはいつくばって調査された故小山浩正さん(当時の北海道立林業試験場)の研究成果です。学生のころ、集中講義でこの研究成果をドラマチックに紹介してくださった記憶は今も鮮明です。


◆帯広の森はぐくーむ/木育マイスター 日月 伸


冬のコートを脱ぎ捨てて(1/2回) -  2019.05.15 Wed

長かった冬がやっと幕を閉じ、人々は春の装いへと変化してきました。しかし、この時期は、「花冷え」、「リラ冷え」と呼ばれる寒い日もあり、タンスにしまい込んだ冬服を思わず取り出してしまうこともあります。
着込むことで寒さを凌ぐ。人間はその時々において気温の変化に対応していきますね。

一方、樹木はどうでしょう。
多くの樹木は毎年同じようなことを繰り返しながら成長しますが、冬に入る前に芽は伸長せず、翌年の準備をし休眠するという堅実な戦略をとります。この戦略は冬芽と呼ばれ、冬芽には翌年伸びる茎や葉がいっぱい詰まっています。そして、冬芽は芽鱗(がりん)というものに覆われ、寒さや乾燥から守られています。言わば冬のコートのようなものですね。
芽鱗の数は樹木によって違う。サラッとコートを羽織ったりするもの、これでもかというぐらい着込んだり、樹木ごとの戦略を見るだけでも楽しめます。人間は寒くなってから重ね着したりするのに、樹木って何故季節を把握しながら対応できるのか、その不思議さには驚かされます。

【キタコブシ】冬芽
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遠くに見る山々の移り変わり、そして間近で感じられること、さらにお花見で楽しむ。春の感じた方は人それぞれですが、自分の春の感じ方はダイナミズム。そんな春の感じ方を紹介いたします。

日が長くなり、太陽の位置も高さを増し、森の中は陽射しがたっぷりと注ぎ込まれ、いよいよ樹木たちはお目覚め開始。樹木は一斉に目覚めるのではなく、何故かタイムラグがあるのも不思議です。冬芽が膨らみ出し、冬のコートを脱ぎ捨てながら、閉じ込められていた葉っぱや花が開く。芽吹きは樹木によって全く違いますね。急いで葉を開くもの、先に花が咲くもの、花と葉を同時に開くもの、樹木の戦略は様々です。多種多様な森だからこそ楽しめることは多いかもしれません。
それでは、名優たちの演出を楽しんでください。

【シウリザクラ】
これを見ないと春が来たという気がしない、最も好きなのはシウリザクラ。まだ、森の中で寝ている樹木が多い中、この樹木のお目覚めは早い。まるで、俳優のように自己表現をしながらのひとり舞台。演出も派手ですね。赤みを帯びた葉っぱが開き出し、オレンジ色へと変化し淡い緑色へと変わる。芽鱗は花弁のようにも見え、変幻自在の演出はお客さんを魅了しますね。

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【ホオノキ】
元気の良さでは負けず劣らずの樹木。ホオノキの開葉も見ごたえがありますね。一際大きなコートを脱ぎ捨てて開葉する姿は何とも勇ましい。

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その一方で、うなだれ気味で開葉するものもある。葉っぱの形も影響しているのかもしれませんが、カエデ類の葉の出始めは「もうちょっと元気を出して!春なんだから」と声を掛けたくなりますね。

【イタヤカエデ】
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【ハウチワカエデ】
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【ヤマモミジ】
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他にもうなだれて開葉する樹木たち。
 
【ミズナラ】
うなだれの代表格はミズナラでしょう。茎の部分に押し上げられ、嫌々出ているようにも見えますね。

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【ハリギリ】
ゆくゆくは巨大化するハリギリの始まりは控えめ。

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次回に、続きます。


◆ようてい木育倶楽部 齊藤 文美

木育ファミリー総会と木育カフェ -  2019.04.17 Wed

2019年度 木育ファミリー総会と木育カフェの概要をお知らせします。

 日時:6月29日(土)   
 場所:むかわ木育の学校
 内容:木育カフェ(午前中~14:00) 
     総会(14:00~15:00)※時間はおおまかな予定です

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場所は例年同様むかわ町穂別の「むかわ木育の学校」です。
むかわ町(賛助会員)は昨年の震災で大きな被害を受けました。木育の学校は倒木処理などをボランティアにご協力いいただき、ほぼ以前のように使える状態になっています。
いつもおいしいBBQなどで木育ファミリーをもてなしてくださるむかわ町の皆さんに、今年は木育カフェで、私達がおもてなしできたらと考えています。詳細は後日お知らせしますが、地域の方や木育ファミリー会員以外の一般参加も大歓迎です。時間に余裕のある方は是非ご参加下さい。

4月4日(木)運営委員3名で、木育の学校とむかわ町(穂別支所、本庁)へ、震災お見舞いと今後の木育活動について話し合いに行ってきました。町の復興と歩調を合わせて、むかわでの木育も進めていきたいと思っています。

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学校の裏庭「和泉公園」

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木育ファミリー教室(1)

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木育ファミリー教室(2)


旅は木育、世は情け(3/3回)観光編 -  2019.04.17 Wed

木育夫婦 大いにはしゃぐ。
有名どころの観光地をめったに訪れることのない私たちだったが、全然観光客らしい所に行かなかったわけではない。人並みの旅をしたいとココロから願う妻の「脅し」が功を奏して、夫のため息を背中に聞きながら、人混みの中に果敢に突っ込んで行く日も、数少ないながらあったのだ。

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宮島の『厳島神社』は、冬の海に浮かんでいた。季節がら、内地から島に渡るフェリーは多少波を被って揺れたが、島に着いてしまえばそう寒くもなく、この程度は私たち道産子夫婦の敵ではない。しかし、人の多さと神社のくせにまわりを囲む木の少なさに(当たり前だ、水の上なんだから)飽きあきした夫は、美麗に並ぶ丹(朱)塗りの柱をそっとコンコンしながら、「これ、ほんとに木かなぁ。コンクリじゃないの? 」と、いちゃもんを付けている。こらこら、神様に怒られるよ。

普通の寺や神社はさいわいにも、夫の大好きな木がたっぷりある。好物の木を堪能しながら、肝心な寺社はさらっとお参りするだけ。普通の人は行かないような奥の方まで木を求めて歩き廻るので、必然的に歩く距離は長くなる。多少迷惑だが、妻も案外そういうところが嫌いではないので、めったに文句は言わない。

なかでも、和歌山の『高野山』はとても素晴らしかった。俗世から隔絶された宗教都市ともいうべきところで、不遜を承知でいうなら、まさにファンタジーの世界である。奥の院の杉林は聞きしに勝る神秘的な存在感に充ちていて、ユングのいう「集合的無意識」を可視化したなら、こうなるのではないかと思わせた。
あと56億6999万7400年後に如来となって降臨する弥勒菩薩と弘法大師を追っかけ出待ちする、名だたる武将とおカネもちさま方の供養塔の間を、杉の古木を拝み、すっかりハイになった私ら夫婦は、そのいきおいで高野山の中をあちこちとはしゃぎまわった。

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三鈷の松の下にしゃがみこんで、三本になっている葉っぱを拾い集めたり、金堂の前に並んで読経するお坊さんの大集団に追いかけ回されて、境内を走って逃げまどう恐怖体験をしたり。とはいってもこれは妻だけ。夫は離れた所で、ハラをかかえて笑って見ていた。(お坊さんの名誉のために言っておきますが、これは単にドンくさい私がことごとく、お経をあげて移動するお坊さんたちの進行方向に逃げていただけのことです)

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お堂を回すと(ホントは握りの付いている枠の部分がちょこっと回るだけ)中のお経を詠んだことになり、功徳が積めるという六角経蔵も力強くグイグイ回した。
私たち夫婦がお堂を回していると、後から来た人が、「何やってるんですか? 」と聞くので、「お経を回してるんですよ」と答えると、この夫婦のような能天気なやつらでも功徳が積めるんだ、と思われたのか、後からあとから皆、お堂を回しはじめた。ところが後で調べると、お堂は時計まわりに回すとなっている。なぁんにも考えていない私たちおバカさんは、反時計まわりに回してしまっていたのである。当然、私たちのまねをしてあとに続いたあの人たちも……。ああっ、ごめんねぇええ!

山口の岩国市を観光したとき、地元の人におすすめを聞いてかえってきたのが、「錦帯橋、岩国藩主吉川家の史料館、シロヘビさま、山賊」。『山賊』は山奥にぽつんとある、ドライブインのようなものである。それが錦帯橋に匹敵するほどの名所というのは、どういうことか。    
まあ、聞いてください、その「聞いておどろけ見て笑え」的なカオスのありさまといったら……。

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またしても予定文字数を大幅に超えてしまったので涙をのんで、ここで打ち切りとする。ただ最後に、ここまでお付き合いくださった方へお礼の言葉にかえて、高野山の僧侶にうかがった講話を記しておく。

わたしが経をよむ
経がわたしをよむ
経が経をよむ

私たちふたりの長いながい木育の旅も、いつかそこにとどけばいいと、願っている。


◆ようてい木育倶楽部/木育マイスター 斎藤 香里

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